未払残業代請求事件でよくある事案として、トラック運転手の手待ち時間が労働時間に入るのかが争われることがしばしば見られます。

トラック運転手が、荷物を配送先に届けようとしても、配送先の検収作業等の事情により、配送先付近でトラックを待機せざるを得ないことが頻繁にあります。海外輸出品を港湾に運ぶ場合には、荷物の量が大量であり、検収・通関作業の繁雑さなども加わり、倉庫近くで数時間待たされるということも当たり前の事態となっています。

このようなトラック運転手の待機時間(手待ち時間)は、待っているだけで自由なのだから労働時間に当たらない、配送先に時間を拘束されて仕方なく待機しているのだから労働時間に当たる、といった主張が労使間でぶつかります。

この問題は従前から裁判で争われており、配送先における待機時間を指揮命令下に置かれていたと評価できるとして実労働時間該当性を認める裁判例も見られます。

このような事態が常態化していることを国土交通省が問題視し、貨物自動車運送事業輸送安全規則が改正され、平成29年7月1日から、荷主の都合により待機した場合、待機場所、到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等も乗務記録として残すことが義務づけられました。本改正により、手待ち時間が残業代にあたるとして、会社に対して未払残業代の支払義務があることを認める事案が増加することと考えられます。

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