紛争の内容
ご依頼者様は、取引先に赴き、機械のメンテナンスを行う仕事をされていました。
定時は、9時~17時でしたが、終業が17時以降になることが多く、その場合でも残業代が支払われることはありませんでした。
残業代請求の資料としては、ご本人が取引先で撮った写真や上司に送ったメールなどがありました。
これ以外に、会社においては固定残業代や事業場外のみなし労働時間制の定めがありましたので、これらも争点となる可能性がありました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まず、当方で手元にある資料を基に残業代を計算し、会社に請求しました。
しかし、会社は、交渉では残業代請求に応じることはありませんでした。
そのため、残業代請求の労働審判を申立てました。
労働審判においては、当方が提出した資料を基に、裁判所からご本人に対して当時の勤務実態などが聞かれ、審理が行われました。
それとともに、固定残業代や事業場外みなし労働時間制の適用の有無についても審理の対象となりました。
本事例の結末
労働審判の結果、残業代として先方が当方に対し数十万円を支払うという内容で審判が成立しました。
本事例に学ぶこと
残業代請求においては、残業時間を示す証拠がなければ、請求が難しいのが一般的です。
残業時間を示す証拠としては、タイムカードや日報、業務日誌、タコグラフ等が一般的です。
ただ、このような証拠がない場合でも、本件のように、現場で撮った写真や上司に送ったメール等があれば、裁判等でそれらが残業時間を示す証拠として考慮される可能性があります。
どのような証拠であれば残業時間を示す証拠として有効であるかはケースバイケースですので、まずは弁護士にご相談ください。弁護士が資料を拝見したうえで、アドバイスをいたします。
弁護士 権田 健一郎