紛争の内容
前経営者の時代に雇用契約を締結し、前経営者は継続的な雇用を約束してくれていたが、代替わりにあたり新経営者から勤務態度が悪いとして突如解雇を言い渡された、解雇理由も曖昧であり納得できない、とのご相談でした。
新経営者の主張する解雇理由は解雇に相当するものではないと感じたため、交渉事件の代理人として受任しました。
交渉の経過
会社に対して解雇撤回等を内容とする内容証明郵便を送付したところ、会社側にも代理人がつきました。
やり取りの中で会社の言い分に関する主張はありましたが、解雇に問題があったという部分については代理人間で見解が一致したため、和解条件について協議を行うことになりました。
本事例の結末
ご相談者様は当初復職の意向を有していましたが、会社が復職に難色を示したこと、復職をしたとしてもどこかで同様の事態が起こる可能性もあることから、会社からの退職を認めることを条件に、解雇撤回、会社都合退職、1年弱分の賃金に相当する解決金の支払い等を内容とする合意をすることになりました。
その後、解決金の支払い等が無事に行われ事件終了となりました。
本事例に学ぶこと
会社の代表者が変わることで職場環境が一変することがあります。
しかし、その場合であっても新代表者が自身の構想にあわない従業員を恣意的に解雇することはできません。
従業員の雇用契約関係はあくまで会社との関係であり、個々の代表者との関係ではないためです。
前代表者と新代表者との間に確執があり、前代表者に近しい従業員の待遇が悪くなるということはありがちなことではありますが、冷遇に対する具体的な根拠がないというケースも多いため、そのような状況でお悩みの方は是非一度ご相談いただければ幸いです。
弁護士 吉田竜二