紛争の内容
依頼者の方は医療機関に勤めていましたが、辞めようとしても人手不足を理由として上層部から認められず、それどころか脅されてしまっていて自力で辞めることができない状況でした。

交渉・調停・訴訟等の経過
依頼者は精神的に参ってしまっており、弁護士から退職することの法的な方法、それが適法であること、勤務先の独自のルールに従う必要などないことを丁寧に説明差し上げました。そして、もしも給与を払わない・退職手続に応じないということであれば、弁護士が前面に立って交渉を進めていくので安心して欲しい旨伝えました。
弁護士から内容証明郵便を使って、有休取得の上で退職する旨の意思表示を行いました。依頼者のところに漏れ伝わった内容からすると、病院の院長が激怒し、顧問弁護士に相談の上で徹底的に争う姿勢を見せているとのことでした。そこで、弁護士から依頼者に対し、そのような根拠のない主張をしてくれる弁護士などいないし、仮に主張してくるのであればきちんと反論するので安心するよう伝えました。

本事例の結末
結局のところ、病院側から何も連絡もなく、無事に勤務先を退職することができ、給与も支払われ、退職に伴って必要な書類が発行されました。本当のところは分かりませんが、顧問弁護士に相談して、こちらの主張が正しいことを理解せざるを得なかったものと思われます。

本事例に学ぶこと
退職代行といっても、辞められない度合いの差が大きいです。本件のように、勤務先の上層部が強硬な姿勢を見せ、「顧問弁護士に相談して法的手段をとる」などという脅しを受ける場合もあります。このような場合、弁護士が介入して毅然とした対応をすることが、問題解決のために有意義です。
本件も、弁護士が介入していなかったら、果たしてどうなっていたのであろうという事案であり、まさに弁護士による退職代行が必要不可欠な事案となりました。

弁護士 平栗丈嗣